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インタビュー 1

furuyaman
実践事例インタビュー第1回は、2014年4月から反転授業を本格的に開始される佐賀県武雄市で反転授業の教材開発などを担当されている、ワオ・コーポレーションの古山竜司さんに、インタビューしました。古山さんは、塾で数学の先生をしておられた経験があり、教育用アプリの開発、教材開発研究を担当され、武雄市の反転授業では、小学校の先生方とコラボレーションしながら、反転授業の予習で使用するビデオ講義や、確認テストの作成などを実施されています。本日は、これまでの経緯と今後の展望についてお話をうかがいました。

【反転授業との出会い】

−− まずはじめに反転授業に関わるようになったきっかけを教えてください。

 2013年3月までは教育アプリ開発の担当をしていましたが、4月に部門移動があり教材研究を担当することになりました。とりわけ低学年児童を対象とした効果的な学習教材の研究に着手することになりました。そこで主要な通信教育や予備校などのサービスを研究している過程で、カーン・アカデミーに出会ったのです。(*カーン・アカデミーはサルマン・カーン氏が作成しているオンライン教育サイトで5,500本の講義ビデオと練習問題を配信している)

 カーン・アカデミーのビデオレクチャーに感銘を受け、スクリーンキャスティング型の教材作成手法をいろいろ調べました。最初は、iPadでコンテンツ作成ができるeducreationsやShowMeなどのアプリを試しました。しかし、いずれもアプリ開発者の提供するサービスを使っての配信を前提としていたり、ブランディングのロゴが入ってしまったりする、という不便さがありました。

 その問題はExplain Everythingというアプリを発見して解消されました。ローカルにMP4ファイルを出力することが可能になったのです。そして、このアプリで作成した教材をテストユーザに配信し、家庭学習の可能性をテストします。すると、小学校低学年の算数など親御さんが説明するのに苦労しておられるところで、理解を助ける効果が見られました。

 ちょうどその頃、佐賀県武雄市で教育監をされている代田氏がワオ・コーポーレーションを訪問されました。代田氏はこのオンライン教育の研究に興味を持たれ、「この方式なら、当時世界中で注目されている反転授業(Flipped Classroom)が日本でも実現できるかもしれない」と可能性を感じました。そして、早速2013年9月からトライアルの準備を始められたのです。最初のトライアルには市内の11ある小学校の中から2校を選んで、研究授業を実施しました。学年で1クラスづつ、算数と理科の授業で実施されたのです。

【導入後】

−− 実際に反転授業をやってみていかがでしたか?

 トライアルでは児童たちにiPadが貸与されました。自宅に持ち帰って予習ビデオを見て、練習問題を解いてくる。そして、学校に来て、解答をサーバに送信します。そのため、先生は事前に生徒の理解度が90%なのか、50%なのか、というデータをチェックできます。教室での授業では教え合い、学び合いをします。

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グループに分かれてわからないところを教えあう様子

 事前に授業で扱う内容が把握できるため「授業がわかるから、授業が楽しくなった」という感想が子どもたちから出てきました。

 また、ビデオ視聴後にLMSのテスト機能を使って授業が始まる前に先生が理解度を把握することができるので、正答率が低い場合にはより詳しく解説したり、ほぼ全員が問題なくクリアしている場合はレビューに時間をかけずに先に進んだり、といった授業進行が実現しました。

さらにビデオで予習してテストを受けるだけでなく、教室で教え合うという活動をします。先生が一方的に知識を伝授するのではなく、学習者同士が教え合って学ぶ、という効果が発見されたのです。

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隣の席の児童と教え合う・先生は巡回してアドバイス

【今後について】

−− それでは、古山さんが今後取り組んでいきたいことを教えてください。

会社の事業としては、塾と公教育がコラボレーションするモデルを水平展開したいと考えています。

また、長年、数学検定(国内に30万人の受験者がいる)協会で、数学コーチャーとして、算数や数学教育の普及や促進をサポートしていて、その分野でも反転授業の要素が役立てられるのではないかと思います。とりわけ、小学校低学年の算数、ビジネス数学に注目しています。

古山さんが作成されているオンライン教材

そして、将来的にはカーン・アカデミーのように小学生から社会人まで数学を学べるようなサービスを作りたいと思っています。

−− どうもありがとうございました。

インタビュー後記:

メディアで注目されている武雄市の反転授業。憶測でいろいろな意見をいう人がいますが、まずは詳しく話を伺いたいと思っていました。

古山さんにお会いしてお話を伺う中で、古山さんが本当に子どもたちのことが大好きで、数学の楽しさ・大切さを伝えたい、そういうあたたかい気持ちがひしひしと伝わってきました。

反転授業と出会って半年で、公立小学校で実践する武雄市の意思決定の速さにも驚きました。日本でもうまく手順を踏めば、迅速な意思決定や実践ができます。

あなたも反転授業や予習・復習をサポートするビデオ講義の作成をはじめてみませんか?